ディオールのアイコンバッグといえば、レディディオールとブックトートですよね。
どちらも非常に人気の高いバッグで、中古市場でも高い相場を保っていま…した。(過去形)
特にディオール製品で、2024年に大きく相場が崩れてしまったのはブックトートです。
2021年ごろですと(柄にもよりますが)新品で27〜30万円くらいの買取だったブックトートですが、今ですと22〜24万円前後くらいまで下がってしまいました。
この3年間で定価が30%以上上がったのに…です。
なぜブックトートは相場が下がってしまったのか…さまざまな複合的な要因はあれど、考察すると一つの結論に辿り着きました。
それは何だったのでしょうか。
目次
個人的な一番の見解:精巧な偽物が出回り過ぎた
私が感じるブックトートの相場急落は、トレンドが過ぎただとか、今はロゴドンバッグは流行らないよ、みたいな一言で片付けられるような、短略的な理由ではないと思っています。
すべての道はローマに通ずという言葉がありますが、さまざまな複合的な要因はあれど、結果ここに辿り着くのでしょうか。
「精巧な偽物があまりにも出回り過ぎた」これに尽きると思います。
さて、その「精巧な偽物が出回り過ぎた」あまり、副次的に起こってしまった理由について書いていきます。
偽物が多過ぎて、街で見かけても「本物かな?」と思ってしまう
ブックトートがピークで人気だったであろう2020〜2022年ごろは、街で見かけても「ブックトートだ!かわいい!」と思っていました。
ただ人気商品というものには、影のようにいつもついてまわる存在があります。そう偽物ですね。
元々ブックトートは出始めからクオリティの低い、粗悪な偽物自体は出回っていました。
ただ、特に精巧な偽物が横行し始めた頃から、街で見かけても「かわいい!」よりも先に、「このブックトート、本物なのかな?」と色眼鏡で見てしまうようになってしまいました。
これは私が査定士という職業柄そうなっているだけかもしれませんが、多少なり一般の方でも「せっかく本物を持っているのに、偽物みたいに思われたら嫌だな」という方もいらっしゃるのではないかと推測します。
個人的にブックトートのトレンドが過ぎてしまった理由は、このような消費者の買い控えが増えたことが考えられそうです。
40万円くらいの他のバッグを買った方がいいや、と他のバッグに流れ、人気に翳りが出てしまったことも頷けます。
メルカリであった「ブックトート返品詐欺(未遂)事件」
2023年12月のお話にはなりますが、とある方がメルカリで正規品のブックトートを売ったら、購入者から「買取店5店舗で買取不可の判定が出たから、返品して欲しい」と言われ、SNS上で話題になった事件がありました。
詳しくはこちらのブログにまとめられてあったので、ぜひご興味のある方は読んで見てください。
何よりもSNS上で物議を醸していたのは返品を強要する購入者に対してのメルカリ側の対応で、返品に応じてくださいとの一点張りだったんですよね。私もかつて同じようなことがあってメルカリ事務局に相談したことがありますが、全く同じ対応でした。
この一連の件で、せっかく正規店で買ったものでもメルカリで売るのはハイリスクすぎると感じた方はいらっしゃるかと思います。
ちなみに2024年11月現在、メルカリさんは別件のプラモデルのすり替え事件で燃えていますよね。
メルカリ自体が利用者の性善説に基づいたビジネスではあるかと思いますが、手数料を10%取っているなら、補償制度はある程度充実させて欲しいなと感じます。
ハイリスクローリターン故に、買取店の不戦勝が相次いだ(と思う)
ブックトート、実は非常に査定士泣かせの商材です。
と言うのも、クオリティの高い偽物が出回ってしまった関係で、めちゃくちゃめちゃくちゃ真贋判定が難しいんです。
ここだけの話ですが査定歴の長い熟練のスタッフでさえ、基準外品を買い取ってしまった…なんてことも全然あったりします。
その上、人気商材ゆえに他店も金額を頑張る傾向にあるので、必然的に利益は薄いです。
まさにハイリスクローリターンの買取商材なんですよね。
2022年ごろまでは戦いに出ていた戦士(買取店)たちも、2023年ごろから徐々に「うーんうちはこの値段じゃないと買わないわ」「ギャランティカードないなら買わんわ」等、バチバチの買取戦争から撤退することも増えてきたように思います。
正規品であっても、査定士泣かせの商材であるので「もし基準外だったら怖いから買わない」と基準外判定をしてしまう査定士もいます。故に小売で一般消費者に売っても「他で買取不可だったから返品させて」と返品リスクもあります。撤退はある意味「不戦勝」と言ってもいいのかもしれません。
そうなると、必然的に相場はどんどん下がっていきます。
個人的にはこういった理由もありそうだなと感じます。
別件:横幅27cmの新スモールサイズの展開が遅すぎた(超個人的な意見)
個人的な意見をば。これは世の小柄な方に寄り添えなかったディオールの罪なのかもしれません。
特に2021年ごろはブックトート全盛期だったのですが、そのころの買取店の中のブックトートの立ち位置は、
いや本当に、誇張なしでこんな感じだったんです(少なくとも私は戦闘態勢でした)。
それくらい人気と回転率が高い商材だったんですよね。
そんな2021年段階のブックトートのサイズ展開は、下記の3種類でした。
このサイズ展開…何を意味するか、わかりますか?
そうです。当時一番スタンダードなスモール(現在のミディアムサイズ)は、横幅が36cm。しかも外縫いなので、余計に大きく感じてしまいます。
個人的に〜160cmくらいの身長の方には持ちにくいサイズ感なんですよね。
そして待望の新スモールサイズ(横幅27cm)が登場したのが2022年の7月ごろです。うーん…遅過ぎる。。。
ちなみに井出、今年フランスに行っていたのですがフランス人の女性(というか欧州全体的に)、背が高いんですよねえ…
日本人の女性の平均身長が約158cmなのに対して、ディオール発祥の地フランスの女性の平均身長は約165cmなんです。
そういう背景も相まって、現スモールサイズの展開が遅れてしまったのではないかと思いますが…やはりスモールを出すのが遅過ぎたように感じます。
小柄な方だと旧スモールサイズ(今のミディアム)を買ったとて「やっぱり私には大きすぎるわ」と感じて売ってしまい、必然的に中古市場に数が増え、相場が下がった可能性がありそうです。
現スモールサイズがあと1年、いや2年早く出ていれば、もう少し相場を維持できた可能性はあったのではないかと感じます。(個人の意見)
Q:今後のブックトートの相場回復はありそう?
2024年11月現在、ブックトートに限らず他のブランドでも相場が軟調に続いております。
言うならばブランド相場全体が「地合いが悪い」ので、地合いが良くなれば多少のリバウンドはあるかもしれません。ただ少なくとも全盛期の2021年ごろまで戻すのは流石に難しいのではないかと感じます。
また昨今はロゴがなくシンプルなアイテムといった、クワイエットラグジュアリーのブームが来ています。
一時期のロゴドン系のトレンドが少し落ち着いているので、ブランド相場やトレンド含め、なかなかここから相場を巻き返すのには厳しい環境下と言えそうです。
Q:これからブックトートを買うのってありですか?
ブックトートのデザインが好きで欲しいというのであれば、今からブックトートを買うことは全然良いと思います。
外野の意見は放っておきましょう。ご自身で気に入った、お好きなバッグを買うことはいいことですよ!
ただ「できたらリセールバリューの高いバッグが欲しい」「なるべく損したくないからメルカリで売るのが前提!」という場合であれば、他のバッグで検討してみるのも良いかもしれませんね。
まとめ:効果的な偽物対策とは…
いかがでしたでしょうか。
個人的に、精巧な偽物が出回ってしまったゆえに本物の立ち位置が脅かされるなんてこと、あっていいのかと感じてしまいます。
本物を守っていくために、買取業者として我々ができることといえば、日々勉強だなと。
二次流通の窓口として少しでも多くの模造品をブロックできるよう、これからも精進してまいります。
お持ちのブックトートを買取に出してみようかな?という方は、まずはLINE査定からいかがでしょうか?
※本物、偽物といった真贋判定等は行なっておりません※
それではまた次回٩( ‘ω’ )و